脳が酸素不足になった時、無意識に出る反応とされている「あくび」。日常経験では、眠くなったり退屈だったりすると、あくびがでることを私たちはよく知っています。でも、それだけではありません。あくびは時に、病気の「警告」のサインでもあるのです。
一体どういうことなのか、詳しく解説していきましょう。
生理現象としてのあくび
疲れていたり、部屋の空気が悪くなったりすると、脳の働きが鈍くなり、結果として脳が酸欠状態のようになる事態が起こります。このとき、無意識の反応として、反射的に「あくび」がでます。これは大きく空気を吸い込んで、新しい酸素をたくさん血液にのせて脳に送ることで、低下している脳の働きを活性化しようとするためです。
また、あくびは口を大きく開くので、あごの筋肉を刺激し、ひいては、脳に刺激を与えていることも分かってきました。この意味では、あくびは咳やクシャミと同じように、「防衛反応」としての生理現象ということもできます。
あくびで副交感神経が優位になる
新しい空気を深く吸い込み、酸素を補給した血液を脳に送り、脳の活動を活性化させる「あくび」。自律神経系の中でも、副交感神経の働きを促進させると言われています。
交感神経と反対の働き(交差支配)をする副交感神経は、別名「リラックス神経」とも呼ばれ、血圧を下げたり、脈を安定させたりします。
あくびには身体を休息に導いていく機能があり、疲れている時であれ、退屈な時であれ、「いったんブレイクしたら!」といったメッセージをカラダやココロに与えるような作用を果たします。
普通のあくびは緊張している時には出ない
周囲が集中しているのに独りあくびをしていて、上司や先生からこっぴどく叱られた経験はありませんか?何かに夢中になっていたり、一生懸命のときにあくびは出ません。こうした場面では交感神経が優位になって、カラダやココロは緊張状態になってるからです。
キケンかもしれない生あくび!
眠い時、退屈な時に出るのとはちがった「あくび」があります。眠気がないのに起こるあくびで「生あくび」と呼ばれています。
その原因として、ストレス、緊張、睡眠障害など、身体や脳が相当疲れている時に起こったり、病気の症状として出たりする場合があるので要注意です。
病気の症状としての「生あくび」
生あくびの原因としてよくある病気は、脳梗塞、脳腫瘍、睡眠障害、狭心症、更年期障害、低酸素血症などです。また、片頭痛の前兆、乗り物酔いの前兆に生あくびが出ることもあります。
脳梗塞の例を見てみましょう。
脳に酸素や血液が行き届かなくて血管が詰まってしまう「脳梗塞」。生あくびといっしょに頭痛やめまい、吐き気などが伴います。とくに一日に何回も生あくびが出るようなら、できるだけ早く受診をすることが大切です。
また、睡眠障害の場合は、自分では眠っているつもりなのに、実際には無呼吸症候群になっている状態です。このため、身体が休めていないので生あくびが出ます。とくに昼間連続して出る場合は、睡眠障害の可能性が高いので、専門の呼吸器科や内科を受診しましょう。
疲れていて出る「あくび」は、カラダやココロが休息を求めています。一方、生あくびは、カラダやココロが危機状態の時にでる「警告サイン」のようなものでしょう。
ふだんの日常生活では、病院での検査のように身体や心の状態のことはよくわからないことが多いだけに、サインとしての「あくび(欠伸)」に、もっと耳を傾け素直にその警告に従うというのも、病気の予防にはよいのではないでしょうか。
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